鳩と鷹
2017.04.13ブログ弁護士として仕事を行っていると、ビートたけしの小説に出てくる話をよく思い出します。
山村に傷ついた鳩を拾った親子がいました。近くの別の山村に傷ついた鷹を拾った老夫婦がいました。両者とも傷ついた鳥を、心をこめて大切に看病します。飛び立てるようになるまで愛情を込めて世話をしていたわけです。そして、そのときは来ました。大空に返すことになったのです。それぞれの山村から大空に向かって羽ばたいていきました。飛び立った後まもなく、親子に看病してもらったハトが老夫婦の世話になった鷹に襲われ、食べられてしまいました。親子は嘆き悲しみますが、老夫婦は「よくぞここまで育った」と誇らしげに思うという内容です。
何が「善」で「悪」かなんて、立場が変わったり、光の当て方が変わるとまったく違った見え方となります。
離婚調停で夫は言います。「俺は妻や子供の生活のため、夜も寝ずに働いたんだ!俺に非はない」
一方妻も言います。「夫は四六時中、仕事に没頭し、一切家庭をかえりみない人間でした…」
同じ事実でも全く違った見え方となります。
「一つの事実でも価値観や経緯によって多様な見方があるということ」独善的な弁護活動にならないようにいつも心掛けています。